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戯曲【空のハモニカ】~再演版~

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言葉にならない最後の詩、綴るように生きた日々。

1930年春、下関。愛する娘を残して26歳で命を絶ったテル。
亡くなる前日にはひとり肖像写真を撮った。まるで生きた証を刻み付けるかのように。大正後期に黄金期を迎えた童謡詩の世界で、星のようにひときわ輝いた名がある――「みすゞ」。

テルが金子みすゞとして生きたのは、ほんの三年ほどの僅かな時間だった。

路地裏の狭い家に移り住み、「みすゞ」としての筆を絶つテル。夏越まつりのお囃子が、ふるさとの遠い海を連れてくる。漁で栄える小さな町。どんなに胸に描いても、あそこに帰ることは、もうできない。空一杯にこだまする「みすゞ」の残響を掻き消すかのように、ぬかるみを歩き出すテル。 大きな空は喪ったけれど、足下に、水に映る小さな空を見つけた――。


テルが「みすゞ」という名を捨てて自身を綴るように生きた最後の日々。それは言葉にならない、けれどきっと光への詩。

読売演劇大賞最優秀スタッフ賞(美術:杉山至)受賞作。

脚本:長田育恵(演劇ユニットてがみ座)
上演:2013年7月5日~7月7日<京都>
   2013年8月1日~8月4日<東京>
会場:<京都>京都芸術センター フリースペース
   <東京>座・高円寺 1


仕様[B5版/一段組/本編126ページ]

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